人材派遣会社の営業ってどんな仕事?気になる年収やキャリアは?
人材派遣会社の営業職は、とても人気がある職種です。
人と関わる仕事がしたい、人の役に立つ仕事がしたい、という理由で、人材派遣会社の営業職を目指す人は多いです。
20代でマネージャーを目指せたり、若いうちから経験を積んで転職する人もいたり、頑張れば年収1,000万以上も目指せる魅力的な仕事です。
しかし、人気がある一方で、入社後にギャップを感じる人も多く、離職率が高い職種でもあります。
人材派遣会社の営業の仕事は、やりがいやメリットも大きいですが、大変なことやデメリットもあるので、必ず入社前にリサーチしておきましょう。
人材派遣会社の営業の年収やキャリアは?
元大手派遣会社で新卒〜8年勤務し、現役人材業界で営業をしている筆者が解説します。
この記事はこんな人にオススメ
- 人材派遣会社の営業の仕事に就職・転職を検討している
- 人材業界に興味がある
人材派遣会社の営業とは?人材業界の会社の種類
人材業界には、人材派遣会社以外にも、さまざまな会社の種類があります。
- 人材派遣会社
- 人材紹介会社
- 業務委託・請負・アウトソーシング会社
- 求人広告会社
- 人事コンサルティング会社
- 再就職支援会社
などがあります。
大きな会社であれば、これらのすべての事業を行なっていたり、複数にまたがって行なっていたりします。
例えば、人材業界で日本最大手のリクルートグループであれば、このようにグループ内で業態によって分社化されています。
- リクルートスタッフィング…人材派遣、業務委託・請負・アウトソーシング
- リクルートキャリア…人材紹介
- リクルートジョブズ…求人広告
- リクルートマネジメントソリューションズ…人事コンサルティング
- リクルートキャリアコンサルティング…再就職支援
同じ人材業界の会社でも、これらの業態によって仕事内容はまったく異なるので、それぞれの違いについてはざっと理解しておく必要があります。
人材派遣会社と人材紹介会社との違い
人材業界のなかでは、人材派遣と人材紹介の2つの業態が最も多く、求人数も多くなっています。
就職活動や転職活動の際は、人材派遣会社か人材紹介会社のどちらにいくか悩む人が多く、筆者もその一人でした。
人材派遣会社とは
人材派遣会社は、主にこのようなサービスを提供しています。
- 派遣先企業と派遣スタッフのマッチング
- 派遣スタッフ就業中のフォロー
- 派遣スタッフの雇用管理
サービスの対価は、派遣スタッフが働いた時間によって、派遣先から受け取る派遣料金です。
人材派遣会社は、そこからマージンを差し引いた分を、派遣スタッフに時給として支払います。
人材派遣会社のビジネスは、この時給のマージンが利益となり、マージンが多く入れば入るほど利益が大きくなり、会社も成長していきます。
そのため、人材派遣会社は働く派遣スタッフの人数が多いほど、また派遣スタッフの働く時間が長いほど、利益が大きくなっていきます。
人材派遣会社は、派遣先企業をたくさん開拓して、多くの派遣求人を受注することを目指します。
また、多くの派遣スタッフの登録者を集めてマッチングを行い、長く働いてもらえるようにしっかりフォローをしていくことが重要です。
人材派遣会社の社員は、派遣スタッフへの仕事の紹介だけでなく、仕事の決定後も派遣スタフをサポートします。
人材派遣会社は、派遣スタッフの就業中のフォローや雇用管理も行う点で、人材紹介会社と比べ、幅広く多岐にわたる業務範囲となっています。
そのため、人材紹介会社と比べて、幅広く多岐にわたる知識が身につき、人の仕事に関わる様々な場面での経験を積むことが可能です。
人材紹介会社とは
人材紹介会社は、主にこのようなサービスを提供しています。
- 採用企業と求職者のマッチング
- 入社までのフォロー
サービスの対価は、入社が決まった時に、採用企業から受け取る紹介手数料です。
人材紹介会社のビジネスは、この手数料が多く入れば入るほど利益が大きくなり、会社も成長していきます。
そのため、人材紹介会社は、たくさんの転職の斡旋が成立するほど、また1件あたりの手数料が大きいほど、利益が大きくなっていきます。
人材紹介会社は、採用企業をたくさん開拓して、多くの求人を受注することを目指します。
また、また多くの求職者を集めて採用企業へ紹介し、決定から入社までのフォローをしていく、というのが仕事です。
人材紹介会社の社員は、求職者の仕事の決定から入社にいたるまでをサポートします。
人材紹介会社は、求職者の転職のタイミングに特化してサポートを行うため、人材派遣会社と比べて業務の幅は限定的となります。
しかし、転職という人生を左右する問題のサポートするには、求職者のことをより深く知り、企業や業界の知識も深く知る必要があります。
そのため、人材派遣会社と比べて、専門的な業界知識やスキルが身につきます。
人材派遣会社の営業の仕事内容
人材派遣会社の営業の仕事は、大きく分けて以下の3つです。
- 派遣先企業への営業活動(新規開拓営業 と 既存営業)
- 派遣求人のマッチング
- 派遣スタッフのフォローや契約更新
それでは、具体的にどのようなことを行うか、ご紹介していきます。
派遣先企業への営業活動(新規開拓営業 と 既存営業)
派遣先企業への営業活動は、主にこんなことを行います。
- 新規企業の開拓
- 既存企業からの派遣求人受注
- 派遣法や求人動向などの情報提供
- 人材派遣以外のサービスもあればその提案
新規開拓営業と既存営業のどちらがメインになるかは、入社年次や配属組織の役割などで変わってきます。
一般的には、新人時代ほど新規開拓が中心となり、中堅・ベテラン時代ほど既存営業が中心となります。
新規開拓営業では、担当エリアの会社のすべてに飛び込み営業をしたり、電話でアポイントを獲得して訪問したりします。
徒歩で移動がメインとなる首都圏であれば、1日あたり10社〜100社程度に対して、訪問や電話でご挨拶回り(名刺やチラシを配る)をします。
これを約3ヶ月〜1年続けると、だんだん取引先が増えたり、他の営業から既存企業の引継ぎを受けたり、既存営業の割合が増えていきます。
入社1年程度で、既存の取引先企業が10社を超え、就業中の派遣スタッフが10人を超え、新規開拓の時間が、週の半分程度に減るイメージです。
ほぼすべての人材派遣会社で、最初は誰もが通る道です。
既存営業では、既存企業から求人を受注したり、スタッフ退職時の後任者の紹介をしたり、就業中スタッフの時給交渉をしたり、が中心です。
ベテランの例では、既存企業が30社程度、就業中スタッフが100人程度、週の8〜9割以上を既存営業に時間をかけ、新規開拓の時間はわずかです。
部門によっては、1〜2社の大手取引先だけを担当して、新規部署の開拓や、そこで働く派遣スタッフのフォローだけを行う営業もいます。
人材派遣会社の営業は、ある程度長く続けていくと既存営業が中心になるので、新規でガツガツ営業というのが苦手な人にも向いている仕事です。
派遣求人のマッチング
派遣求人のマッチングは、主にこんなことを行います。
- 派遣求人のオーダーヒヤリング・求人掲載
- 候補になる派遣スタッフの募集・選考
- 派遣先企業への紹介
まず、派遣先から求人を受注したら、オーダーヒヤリングといって派遣先企業へ求人内容の確認して、料金や人物像など求人の条件を決めます。
オーダーヒヤリングができたら、人材派遣会社の自社のホームページや求人広告を使って、求人を掲載します。
求人を掲載しても、すぐに応募があることは少なく、また条件にあった候補者は簡単には見つかりません。
そこで、応募者のなかから候補になりそうな人を選考するため、候補者と電話や対面で話をします。
マッチした候補者から応募がないときは、その人材派遣会社に過去に登録しているスタッフへ連絡をして、求人のご紹介を行います。
候補者が見つかったら、派遣先に連絡して、顔合わせ(面接の簡易版のようなもの)をセッティングします。
営業担当は、派遣先と候補者の派遣スタッフとの顔合わせに同席し、派遣スタッフの紹介を行います。
その後、派遣先と派遣スタッフの双方の合意が得られれば、契約決定にいたるという流れです。
求人を受注しても、適任なスタッフが見つからずに、派遣先に候補者を紹介できないことも多々あります。
そんなときは、派遣先に求人の条件の交渉をしたり、よりマッチングに時間をかけます。
せっかく候補者が紹介できても、派遣先から断られてしまったり、派遣スタッフが辞退したりということも日常茶飯事です。
そんなときは、あらためて別の候補者のマッチングを行いますが、他の派遣会社からの紹介で決まってしまうこともあります。
営業としては、様々な業界や職種の求人知識、条件交渉力、求人原稿のライティング力、といったスキルを身に付けることができます。
派遣スタッフのフォローや契約更新
派遣スタッフのフォローは、主にこんなことを行います。
- 派遣先企業で派遣スタッフとの面談
- 派遣スタッフの就業時間外の電話・メールによるやりとり
- 派遣先企業の担当者への報告
- トラブルの対応
求人の受注〜マッチングを行なって、派遣スタッフが無事就業決定にいたったら、そのスタッフが働いているあいだは自分が担当となります。
大きな会社であれば、就業が決まってからはコーディネーターがスタッフフォローを行うという役割分担をしている場合も多いです。
とはいえ、営業担当もコーディネーターと一緒になってスタッフフォローをしたり、トラブルがあった時の対応などは営業が行うという場合も多いです。
営業の仕事には、多かれ少なかれスタッフフォローは含まれます。
就業中の派遣スタッフのフォローは、派遣先の職場へ訪問して面談をしたり、電話やメールで行なったりします。
フォローの頻度は、多くの派遣の契約が3ヶ月ごの契約期間なので、最低3ヶ月に1回は更新確認でコミュニケーションを取るのが一般的です。
あとは、なにか相談やトラブルがあったときに、個別に対応をするという具体です。
例えば、100名のスタッフを担当する営業が、3ヶ月に1回スタッフフォローをして、週に1〜2件程度の個別の相談やトラブルの対応をすると…
週に約10人くらいの派遣スタッフと面談をするイメージです。
相談やトラブルの内容は、例えばこのように本当に多岐にわたります。
- 派遣先の職場環境
- 派遣先の社員や他の派遣スタッフとの人間関係
- 派遣先の業務内容
- 時給や契約条件
- 派遣スタッフの体調やプライベートの事情
- セクハラやパワハラがらみ
相談の内容について、派遣先に交渉して欲しいというときもあれば、ただ話を聞いて欲しいというだけのときもあります。
営業としては、コミュニケーション力、スタッフのマネジメント力、トラブル対応力といった、ヒューマンスキルを身に付けることができます。
派遣のトラブルはどこに相談すればいい?元派遣会社の営業が解説します
人材派遣会社の営業の働き方や残業
人材派遣会社の営業の働き方はどのようになっているでしょうか。
人材派遣会社の営業の1日の仕事の流れ
(ベテランの営業担当の例)
8:30〜9:30 | 派遣スタッフの初日同行 |
---|---|
9:30〜11:30
|
オフィス帰社
・派遣先や派遣スタッフとの電話・メール対応 ・テレアポ |
11:30〜12:30 | 昼食 |
12:30〜14:00 | 顔合わせ
・派遣スタッフと顔合わせの待ち合わせ ・派遣先と派遣スタッフの顔合わせ同行 |
14:00〜17:30 | スタッフフォロー
・更新確認の面談 × 5名 ・派遣先の担当者へフィードバック |
17:30〜残業 | オフィス帰社
・顔合わせ結果の確認で派遣先・派遣スタッフへ電話 ・契約書発行の事務処理 ・派遣求人のオーダー入力 ・派遣スタッフからの電話・メールの対応 退社(19:30〜21:00ごろ) |
(新人の営業担当の例)
9:00〜10:00 | オフィス出社
・新規開拓の準備(名刺・チラシ・訪問エリアなど) ・テレアポ |
---|---|
10:00〜12:00 | 新規開拓営業
・飛込みで30社〜50社程度訪問 |
12:00〜13:00 | 昼食 |
13:00〜14:00 | 新規アポイント
・ご挨拶や会社案内 ・派遣求人の受注 |
14:00〜17:30 | 新規開拓営業
・飛込みで30社〜50社程度訪問 |
17:30〜残業 | オフィス帰社
・営業リストの更新 ・名刺獲得企業へのお礼メール ・退社(18:30ごろ) |
人材派遣会社の営業の残業について
人材派遣会社の営業の残業についてご説明します。
まずは、大手口コミサイトで実際に働いた社員の1ヶ月あたりの平均残業時間を調査したところ、以下のようになっておりました。
- 大手R社 … 28時間
- 大手P社 … 31時間
- 大手P社 … 37時間
- 大手A社 … 31時間
- 中小A社 … 25時間
- 中小B社 … 14時間
だいたい1ヶ月あたり20時間〜40時間程度の範囲なので、1日あたり1〜2時間程度というデータになっておりました。
定時が18時とすると、残業含めて毎日19時〜20時のあいだくらいに退社するイメージですね。
実態としては、残業時間として申告されていない時間もあるかと思いますが、筆者の経験上でもおおむね間違っていないかと思います。
筆者が所属してた大手A社では、実態は1ヶ月あたり40時間くらいが社員の平均でした。
残業時間とは別に、PCを持ち帰って、土日に家でパソコン作業をやっている人もいます。
筆者は仕事が好きな方だったので苦に感じたことはなく、0時をまわって仕事をしたり終電を逃すようなことも一度もありませんでした。
知人が終電くらいまで働いている話などはよく聞いていたので、どちらかというとラクな仕事だと考えていました。
プライベートの時間も十分に取れていましたが、平日夜に勉強したり、副業やなにか新しいことをはじめたり、といった余裕まではなかったです。
女性の場合、育児をしながら営業の仕事をする人は少なかったですが、一部時短勤務で両立しているエネルギッシュな社員もいました。
どちらかというと、産休育休の復帰後に、営業以外のサポート系のポジションに変わって働き続ける社員は、かなり多かったと思います。
人材派遣会社の営業の仕事は、激務とかブラックと良くいわれますが、最近は残業の規制もかかっており、実態はそこまで大変ではないです。
人それぞれで仕事の器用さや感じ方にもよるのでなんとも言えませんが…
筆者としては、決して残業時間が少ない方とは思いませんが、他の業界と比較してもよくある程度の残業時間だと思います。
人材派遣会社の営業の年収・給与
まずは、大手口コミサイトで実際に働いた社員の平均年収と年収範囲を調査したところ、以下のようになっておりました。
- 大手R社 … 平均年収610万 範囲300万〜900万
- 大手P社 … 平均年収480万 範囲300万〜1300万
- 大手P社 … 平均年収450万 範囲300万〜800万
- 大手A社 … 平均年収450万 範囲200万〜1100万
- 中小A社 … 非公開
- 中小B社 … 非公開
大手では400〜600万程度、中小ではおそらく300〜500万程度の平均年収と思われます。
筆者は、大手A社に新卒〜8年勤務していたのですが、その時の残業代も含めた実際の年収は以下の通りです。
- 新卒〜2年目 年収400万 ※役職なし
- 3年目〜5年目 年収450万〜550万 ※役職なし
- 6年目〜8年目 年収550万〜650万 ※チームリーダー
※6年目〜8年目の年収内訳は、基本給360万,賞与120万,残業代120万でした。
その後、管理職となった場合の年収は、以下の通りです。
- 課長 年収600万〜700万
- 部長 年収700万〜900万
- 本部長 年収1000万〜1500万
- 取締役 年収1600万〜
※中小の派遣会社の場合は、年収はもっと低くくなります。
昇進をしていくのは一部社員だけで、昇進せずに役職なしの状態が続くと、40代で年収400万〜500万程度ということも良くあるケースです。
人材派遣会社の営業は、若いうちは他業界以上に稼げますが、30代以降で他業界以上の年収をキープするには昇進をしつづけることが必要です。
人材派遣会社の営業は、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまうのですが、30代〜40代以降の年収にツケがまわってくるので要注意です。
人材派遣会社の営業のやりがい・メリット
まず、やりがいですが、非常にやりがいのある仕事です。
派遣スタッフの仕事が決まったときは嬉しいですし、また、就業中の派遣スタッフから相談をうけると頼られていると感じたりします。
また、社員も人が好きで集まってくる人たちが多いので、会社の雰囲気が良いことが多いです。
労働関係の法律に詳しくなるので、知識や経験を活かして、難しいトラブルも解決したりできるようになると、とてもやりがいにつながります。
また、キャリアの面でのメリットは、若いうちからベテランと同じ仕事内容を任されるので、20代の成長環境としては非常に良いという点です。
様々な業界の企業を担当し、年齢も幅広い担当者や派遣スタッフとの仲介をするので、とにかくヒューマンスキルやトラブル対応力が上がります。
大手メーカーなどではなかなか経験させてもらえないことなので、20代や若手の成長を考えると素晴らしいキャリアにつながる仕事です。
人材派遣会社の営業の大変なところ・デメリット
まず、新規開拓などの営業面では、どちらかというと簡単な仕事になります。
人材のニーズがある企業に、良い方がいたらご紹介するというスタイルなので、高額な商材を押し売るような厳しさや大変さとは異なります。
大変なところとしては、ヒトを扱うサービスなので、モノを扱うサービスよりも、不安定な要素が大きいことです。
不安定な要素が大きいということは、トラブルやクレームが発生するケースもあり、自分ではコントロールできないことがたくさんあります。
求人を受注してもマッチする人がいなかったり…
せっかく契約が決まってもスタッフからやっぱり辞退したいと言われることもあったり…
就業開始したばかりのスタッフがすぐに退職してしまうこともあったり…
明日から行きたくありませんとスタッフから夜遅く連絡がくることもあったり…
長く働いていたスタッフが急に体調不良で音信普通になってしまうこともあったり…
など、本当に様々なトラブルが発生します。
自分ではコントロールできないことも多いなか、派遣先に対しては派遣会社として責任を持ってトラブルを解決していくことが求められます。
なかには、トラブルが解決できなかったり、似たようなトラブルが続いてしまって、派遣先からクレームを言われることもあります。
派遣先が突然契約を終了にしたり、契約外の仕事をスタッフにさせたり、スタッフに被害がおよんでトラブルが発生につながることもあります。
営業としては、トラブル対応などのヒューマンスキルが高まるので、かなり良い経験につながります。
しかし、こういった突発的なトラブルが多く続くストレスに耐えられず、退職してしまう社員も少なからずいます。
これを、やりがいと捉えるか大変さと捉えるかは人によりますが、人材派遣の営業の最も難しいところと言えます。
また、キャリアの面でのデメリットは、ヒューマンスキル以外のテクニカルスキル(ITスキルや事務処理能力)が上がりづらいという点です。
エクセルやパワーポイントなどは基本的なこと以外は使用しないため、テクニカルスキルを磨く機会が仕事のなかではありません。
また、良くも悪くも経験年数に関係なく同じ仕事を任されるので、ベテランになっても身につくスキルの幅は広がりづらいです。
昇進してマネージャーにならない限りは、40代でも若手と同じことをやるので、市場価値が低い人間になってしまうリスクがあります。
そのため、マネージャー以上を目指して昇進し続けるのか、若いうちに経験を積んで転職するのか、方向性を決めることがポイントです。
人材派遣会社の営業は、やりがいやメリットが十分にありますが、大変なことやデメリットもあるので、その点もしっかり認識しておきましょう。
人材派遣会社の営業の離職率
人材派遣会社の離職率という正確なデータは調査されていないため、実際に業界にいた知見からお伝えします。
大手派遣会社の例、新卒で100人入社したとすると、5年以内に50人程度退職するので、5年以内の離職率は50%程度となります。
さらに10年以内には80人程度が退職しており、10年以内の離職率は80%程度となり、10年以上続く人は10〜20%程度です。
新卒で入社して定年まで働くという人はほぼゼロに近く、他業界と比較すると離職率は高いです。
良くある退職理由は、年収が低い、他業界や他職種へのキャリアチェンジ、仕事自体が大変、と概ねこの3つの理由のどれかです。
年収が低いというのは、20代のうちは他業界に劣らないのですが、30代以上になると他業界より低くなり、他業界への転職が増えるためです。
他業界や他職種へのキャリアチェンジというのは、若いうちに大半の経験や知識が身についてしまうので、他に転職する人が多いためです。
仕事自体が大変というのは、突発的なトラブルが多くてストレスになったり、時間を作りづらかったりして、退職をする人が多いためです。
離職率が高いのは、大変な点もありますが、早く経験を積んで次のキャリアに活かせるという点もあるので、一概に悪いこととは言えません。
しかし、人材派遣会社の営業という仕事を、最終ゴールではなくキャリアステップとして捉えたほうが成功しやすいと、筆者は考えています。
人材派遣会社の営業のキャリアや転職先
人材派遣会社の営業としてのキャリア
人材派遣会社の営業としてのキャリアは、このようなステップになっています。
- 営業
- リーダー
- 課長クラス(課長、支社長、支店長など)
- 部長クラス(部長、エリア長など)
- 本部長クラス(本部長、事業部長など)
- 役員
- 社長
新卒で入社した場合、優秀な人であれば20代のうちに課長クラスに昇進することもめずらしくなく、30代で部長や本部長に昇進する人もいます。
同じ会社のなかで、人材紹介などの別のサービス部門への異動や、コーディネーターなどの別職種にキャリアチェンジする人もいます。
人材派遣会社の営業からの転職先
人材派遣会社を辞めて転職をする場合、良くある転職先はこのようになっています。
- 同業界の人材紹介や求人広告の営業
- 他業界の営業(MR、医療機器商社、IT・インターネットなどの無形商材の営業)
- コンサル(BPOなどの人材系)
- 人事・採用業務
などが、良くある転職先としてあげられます。
筆者の場合は、人材派遣会社の営業 → インターネット求人広告の営業 への転職をしました。
転職によって、人材業界で培ったヒューマンスキルを活かしつつ、弱点であったテクニカルスキルをIT業界で積むことができています。
年収も倍以上に上がっているので、IT・インターネット業界への転職は非常にオススメだと考えています。
他に周りで転職をした知人に話を聞くと、人事・採用業務にキャリアチェンジした人も満足度が高いようです。
人材派遣会社で培ったヒューマンスキル以外に、ITなどのテクニカルスキルや専門知識が身につく仕事が、転職先としては良いステップだと思います。
人材業界からの転職を成功させるには?派遣営業から転職で年収1,500万超えた方法
まとめ/人材派遣会社の営業とは?
人材派遣会社の営業は、大変なことも多いですが、そのぶん新卒や若いうちにキャリアを積みたいという方には、とても良い仕事だと思います。
若いうちから昇進してマネージャークラスを目指したり、転職して次のキャリアにつなげたりといったチャンスがあります。
しっかり目標を持ってやっていけば、高い年収やハイキャリアにつなげていくことも可能です。
メリット・デメリットを両方理解した上で、ぜひ人材派遣会社の営業という仕事を考えてみてください!
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